嵩山工房では筆づくり歴60年以上の伝統工芸士山崎亘弘が中心となって豊橋筆の製造販売を行っています。
生活環境の変化によって筆の需要が年々減少する中、「伝統工芸の技を地域の未来につなげる」為に伝統的工芸品豊橋筆の保存と発展に尽力し、小学校での体験学習をはじめ、豊橋筆の伝承と観光振興に地道に取り組んでいます。
豊橋筆職人の多くの販売先は一般消費者ではなく、問屋が主な取引先のため、「豊橋筆ブランド」としてではなく、OEMとして無印で問屋に卸す事が多く、卸し先の問屋のブランドとして販売され、他産地の筆として販売されています。そのため、「豊橋筆ブランド」の産地ブランド力が低い現状にあります。嵩山工房では、「豊橋筆の伝統を守るため」一人でも多くの方に「豊橋筆」を知ってもらい、触れ合ってもらえるよう日々努力をしております。
愛知県の東南端にあり、東三河地方の中心都市で路面電車の走る「豊橋市」。
古くは「穂国(ほのくに)」と呼ばれ、大化の改新のころ「三河国」に統合、江戸時代は城下町として、また東海道五十三次の宿場町として栄えました。
豊橋筆は特殊な技法「練り混ぜ」を使って作られており、墨になじみやすく、滑るような書き味が特徴です。
多様な動物の⽑の特性を知り尽くし、穂の⻑さや太さ、⽑の硬さや弾⼒の違いのある⽑を使い分け、混ぜ合わせることによって書道⽤、⽇本画⽤、⼯芸⽤など⽤途に合わせて何百種類以上もの筆が作られます。
安定した書き味と品質の良さは、書道家など筆の専⾨家からも⾼い評価を得ています。
豊橋筆の歴史は古く、その始まりは⼆百年以上前の江戸時代にさかのぼります。
江戸時代、豊橋は吉⽥藩七万⽯の城下町でした。
その吉⽥藩の財政難の際に、下級武⼠が内職として始めたのが豊橋筆の始まりです。
豊橋は⼭間部にあり、筆を作るための材料を簡単に調達する事ができ、また、東海道五⼗三次の宿場町であったため、豊橋で作った筆は全国へと広がっていきました。
今⽇では国内⽣産の約四分の⼀、⾼級筆においては七割のシェアを占める、年間180万本が全国で販売されています。
1976年に、伝統的⼯芸品として指定されました。
豊橋は北部に⼭地を控え、狸、いたちなど原料になる⽑が簡単に⼿に⼊り、また、⽵も市北部の嵩⼭(すせ)の奥から薪を売りに来る⾏商⼈から求めるといった具合で、地の利の良さから、⾃ずと筆づくりが盛んとなり、下級武⼠の副業として⾏われてきました。
しかし、今では筆の命となる原⽑のほとんどが海外から輸⼊され、そのうち70%は中国からの輸⼊に頼っています。
原毛は年々価格が高騰し、輸入規制も厳しくなってきております。
穂先が鋭く、墨含みの大変良い、とても柔らかい毛です。主に羊毛筆の原料として使われます。寒い山間地域に生息する毛の長い山羊(ヤギ)の毛です。
程よい弾力があり、しっぽや尾、たてがみ等各部位の毛を使い分け、主に太筆の原料として使われ、毛先の長い尾は特大筆の原料となります。
弾力と墨含みの良い毛で、細筆の主な原料となります。
いたちや、上質なコリンスキーセイブル(イタチ)の毛は現在入手困難となっております。
毛が粗く、弾力があるので、太筆の腰などに使われます。
弾力が非常に良く、毛先にボリュームがある毛で、主に他の原毛と混ぜ合わせて使われます。
とても柔らかく粘りがあり、肌あたりが良いので、化粧筆などに主に使われます。
嵩⼭⼯房は、代表⼭崎亘弘が1958年に個⼈事業として開設。
1998年に豊橋市の北部、嵩⼭町に「筆の⾥ 嵩⼭⼯房」を開設。
代表の⼭崎亘弘は、二百年以上の歴史を誇る伝統的⼯芸品豊橋筆の保存と発展に尽⼒しており、伝統⼯芸⼠として豊橋筆の伝承と観光振興に地道に取り組んでいます。
豊橋筆の製造工程は36工程あり、全ての工程が江戸時代より受け継ぐ匠技による一貫した手作業でつくられています。
原毛を⽑丈の⻑短、⽑先の良否等、命⽑・喉⽑・腰⽑にその⽤途別に⼈間の⽬と⼿だけで選り分け、⽕のしをあてて水分を飛ばし、毛をまっすぐに伸ばします。
1で選別した原⽑に籾殻を焼いて作った灰をまぶし、脂を取り除き墨の吸収を良くするため、⽑に⿅⽪を巻いて両⼿で強く揉みあげます。
毛先を揃えて束ね、麻糸で縛り煮沸し、金櫛でといて平目型にのばします。
その後、⽑先を寄せて、命⽑(いのちげ)、喉⽑(のどげ)、腰⽑(こしげ)などに区分して毛先を揃えます。
⽑先で揃えた⽑を、⽑がからみ合ったり折れ曲がったりしていないように⾦櫛にて丹念にすき、毛をまっすぐにのばして毛先を揃え、硝⼦板の上ではんさしを使い形を整えます。
豊橋筆独⾃の技法「練りまぜ」。豊橋筆で最も特徴的な⼯程です。
⽔に浸した⽑を混ぜるので、⽑がむらなく均⼀に混ざります。墨になじみやすい。墨含みが良くなる。
この⼯程は、選別後、別々に処理加⼯されてきた芯⽑(命⽑、喉⽑、腰⽑)を⼀緒に混ぜ合わせる⼯程で「荒交ぜ」をした後「総交ぜ」をします。
その後、さらいをして悪い毛を抜き上げる。
芯1本分の⼤きさに「はんさし」を⽤いて分け、こま(型)に差し込み芯の形をつくり出して天⽇乾燥で乾燥させます。
その上に上⽑(化粧⽑)を巻きます。⾦櫛にて綺麗にすきあげ、芯1本分に巻く量ずつに「はんさし」で分け、うすく引き伸ばして、芯に巻き付け乾燥させます。
乾燥した穂を麻糸で縛り、尾締めをして焼きゴテで焼いて縛り、軸に糊付けして穂を差し込みます。
穂全体に海藻からできた糊を含ませた後、糸を根元に巻き付けて軸を回しながら余分な糊を取り除き、穂の形を整え乾燥させます。
その後穂先を保護するため、乾燥した筆に各々鞘をかけていく鞘付けをします。
軸の胴にラベルを貼って(彫を入れて)完成となります。
※5名以上で実施予定
ご⾃分が豊橋筆の職⼈となってオンリーワンの豊橋筆を作れます。
〒441-1111
愛知県豊橋市嵩山町下角庵1-8
TEL.0532-88-2504
営業時間 9:00 ~ 15:00
定休日 土日祝日
※事前予約の際は営業致します。